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連載

新大学評判記 第31話

亜細亜大学 「東急」に喰い物にされた悲劇

2022年7月号

 六月十二日、神宮球場で行われた全日本大学野球選手権決勝。亜細亜大学が七対一で、上武大学を下し、二十年ぶり五度目の優勝を果たした。亜大はソフトバンクの東浜巨投手、広島カープの九里亜蓮投手などプロ野球で活躍する選手を輩出する大学野球の強豪だが、「大学日本一」からは遠ざかっており、久々の優勝に大学は沸いた。だが、その陰で亜大のOBや教職員にはぼやきの声が広がっている、という。
「また、東急グループにもうけさせるのか」。野球部「日本一」など節目のたびに大学は日の出キャンパス(東京都日の出町)にある野球部合宿所、グラウンドなどの整備にお金をつぎ込み、その資金をOBや教職員からの寄付金でまかなおうとする。母校や勤務先のためと度重なる募金要請に応じる関係者は多いが、実はその資金は亜大の施設建設をすべて請け負う東急建設にそのまま流れ込む。
 この四、五年をみても、校舎新設、研究・事務棟建て替え、旧校舎の取り壊し工事などをすべて東急建設が請け負い、現在進められている図書館のリノベーション工事も同様だ。
「東急建設なら二割、三割増しは当たり前」。家電量販店の宣伝文句をパロデ・・・