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経済

有力弁護士事務所が株主総会で「連敗」 面目失う「企業防衛のエース」

2022年7月号

 今年の株主総会シーズンで、会社側が議案を直前に撤回する事案が相次いだ。エレベーター製造のフジテックが内山高一社長の取締役再任議案を当日朝に撤回。東洋建設は事実上の有事型買収防衛策の導入議案を総会前日に撤回した。「そのまま総会で決議をとっていたら否決されることがわかり、逃げた」(大手証券会社幹部)のだ。
 大株主の圧力に屈した格好だが、両案件で会社側の防衛陣営についていたのが弁護士事務所大手の西村あさひ法律事務所。特に東洋建設の有事型買収防衛策を考えたのは西村あさひで企業防衛の専門家として知られるエース、太田洋弁護士だが、今回は面目を失った。
 太田弁護士は東洋建設の買収防衛策を「買収防衛策ではない」と言い張り、「リリースに買収防衛策と書かないで済むよう東証にも圧力をかけた」(東洋建設関係者)という。発表文には「大規模買い付け行為などへの対応方針」と書かれたが「誰がどう見ても買収防衛策」(全国紙経済部記者)。圧力に屈した東証に対しても「みっともない。これで市場の番人とは片腹痛い」(証券会社幹部)とあきれる声が。・・・

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