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経済

旧新日鐵OBがまた騒動 関係企業で「株主提案」の大立ち回り

2022年7月号

 新潟県に本社を置く北越メタルの株主総会で、三三%の株を保有する筆頭株主のトピー工業が出していた株主提案が可決された。トピー工業の専務らを含む三人の取締役選任を求め、北越メタルと対立していたが、筆頭株主に軍配が上がった。ちなみに北越メタルの棚橋章社長はトピー工業の出身だ。
 これはどこかで見た光景だ。一年前、東京製綱の筆頭株主だった日本製鉄が東京製綱の経営陣に不信を抱き、実権を握っていた自社出身の田中重人前会長ら取締役を全員退任に追い込んだ一件と酷似する。共通するのは、自社のOBがトップの企業に喧嘩を売り、資本の力で言うことを聞かせた点だ。
 トピー工業の高松信彦社長も新日本製鐵(現日本製鉄)のOB。新日鐵出身者は株主権を駆使したバトルを厭わないようだ。彼らが社会人になった当時の新日鐵は、「鉄は国家なり」の余韻がまだあり最も優秀な人材が集まる会社とされた。「いい年になって関係会社に行っても、覇権主義的な意識が抜けきれず思い通りにならないと許せない人が多い」(証券会社幹部)との非難も。覇権主義ガバナンスはいつまでまかり通るか。・・・