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WORLD

「新BRICS」は世界分断の象徴

反米・反民主主義の「互助会」に

2022年8月号

 二〇〇一年に米ゴールドマン・サックスのアナリスト、ジム・オニールが造語した新興経済国の総称、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)。その後、中国を筆頭に劇的に成長し、南アフリカを加えたBRI
CSになるとともに、米国一強のグローバル体制を揺るがす存在になった。問題はBRI
CSが経済だけでなく、政治でも影響力を拡大、米欧日が主導する民主主義と市場経済を基軸とする体制に牙をむき始めたことだ。一八年に米トランプ前大統領が戦端を切った米中冷戦、続くコロナ感染はBRICSの挑戦を先鋭化させ、今年二月のロシアのウクライナ侵攻にまで進んだ。今やトルコ、イランも加わろうとする“新BRICS”は冷戦以上の分断を世界にもたらしつつある。

「国連と並ぶ新たな組織の構築」

 七月十九日、テヘランの空港にロシアのプーチン大統領がにこやかな表情で降り立った。ウクライナに軍事侵攻してから、旧ソ連以外では初の外遊。表向きの目的は、イランのライシ大統領、イラン訪問中のトルコのエルドアン大統・・・