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経済

トヨタが風力発電で「環境破壊」

乱開発「強行」で国立公園の危機

2022年8月号

 青森県の八甲田山といえば雪中行軍遭難事件が想起されるが、実際には豊かな自然に恵まれた景勝地でもある。周辺は十和田八幡平国立公園に指定され、多種多様な火山が連なる様は「みちのくの脊梁」と称されるほどだ。公園内にはイヌワシやクマタカなど国内希少種が生息し、越冬期にはオオハクチョウも飛来するという。そんな八甲田山で今、国内最大級の陸上風力発電計画が持ち上がっている。にょきにょきとそそり立つ風車は景観を破壊し、建設のために切り拓かれる森林はもう当分元に戻ることはないだろう。この非サステナブルな乱開発の当事者は、ユーラスエナジーホールディングス。日本を代表する“環境先進企業”トヨタ自動車の系列企業である。
 ユーラスエナジーHDが計画段階環境配慮書で示している「みちのく風力発電事業」(仮称)によると、発電所出力は約六十万キロワットであり、建設されれば国内でも最大級の風力発電所となる。定格出力四千~五千キロワット級の風力発電機を約百二十~百五十基設置するというからかなりの規模だ。風車は超大型で、高さは二百メートル、羽根の直径は百五十メートルを超えるという。{br・・・