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経済

電気料金「上げ放題」の不埒

原発再稼働を強請る電力大手

2022年9月号

 電気料金の値上げラッシュが間近に迫っている。固定費である電気料金の値上がりは、企業の収益圧迫と家計の負担増大に直結し、収入低下と支出増加という二重苦に我々が苛まれることを意味する。昨今の電力危機が背景にあるのか、マスコミの批判報道も控えめなため、値上げはすんなり実行されそうな勢いだ。これ以上ない責め苦に、庶民は早晩、耐えられなくなるであろう。しかし、それは電力会社の思うつぼでもある。彼らはここぞとばかりに、隠し持っていた手札を切ってくるに違いない。料金低廉化と電力安定供給の両立を演出する最強カード、「原発再稼働」である。
 電気料金値上げの口火を切ったのは電気事業連合会会長会社の九州電力だ。九電は五月、「季時別電灯」など旧オール電化プランにおける燃料費調整制度の上限価格設定を十月分から廃止すると発表した。平均燃料価格は九月の料金算定の時点で上限価格を約一・五倍超過しており、大幅な値上げは避けられない情勢となっている。
 九電を皮切りに、七月以降、全国の大手電力会社も相次ぎ値上げを表明した。燃料費調整の上限廃止は中部電力のほか、北海道や東北の各大手電力で、十一月以降・・・

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