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米共和党に「脱トランプ」の機運

「正気の政治」への困難な回帰

2022年9月号

 二年後に迫った米大統領選で、共和党内に「ドナルド・トランプ前大統領以外の候補」を模索する動きが広がっている。八月には、米連邦捜査局(FBI)がトランプ氏のフロリダ州の自宅を家宅捜索した。トランプ支持層の間では、「米支配層は、トランプ封じに動いている」との危機感が広がり、FBIエージェントが襲われるという衝撃的な事件も起こった。
 トランプ氏の生涯は、「ありえないこと」の連続だが、今年八月八日も、記憶すべき日になった。フロリダ州の自宅「マール・ア・ラーゴ」に、多数のFBI捜査官らが現れ、家宅捜索を行った。
 衝撃を受けたトランプ氏は、「私たちの国にとっての暗黒時代だ」と、米司法当局を激しく非難した。
 すると全米のトランプ支持者たちが、FBIを標的にする事件が相次いだ。十一日には、四十代の男が、オハイオ州シンシナティのFBI支局に押し入ろうとした。FBIとこの男の間で銃撃戦となり、男は被弾して死亡した。
 元FBI捜査員のフランク・モトヤ氏は、米PBSのインタビューに対し「自分の現役時代はもちろん、歴史的に見ても、(一般人による)FBI支局の襲撃・・・