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「プーチンの次」 側近たちの混戦

大統領選「前倒し」の観測も

2022年9月号

 半年を経たロシアのウクライナ侵攻で、プーチン大統領が一向に出口戦略を示さないことに、エリート層の不安や苛立ちが水面下で広がっている。プーチンは「特別軍事作戦は順調に進んでいる」「他に手段はなかった」などと繰り返すだけで、新機軸も突破口もみられない。国民がいつまでも国営メディアのプロパガンダを信じるとは思えない。
 シロビキ(武闘派)や有力オリガルヒ(新興財閥)の間では、十月で七十歳になるプーチンの健康問題もあり、二〇二四年三月の次回大統領選へのプーチンの出馬はないとの臆測が出回り、「ポスト・プーチン」をめぐる暗闘が始まった。
 ロシアの政治専門家、アンドレイ・ペルツェフ・カーネギー国際平和財団研究員は「戦争の泥沼化でエリートは自分の将来を考える必要に迫られた。プーチン自身は退陣の意思を示していないが、過去の人とみなされ、エリートや後継候補らは戦後の未来像にプーチンの居場所はないとみている。プーチンの役割は、後継者を指名して舞台を去ることだけだ」と書いた(『モスクワ・タイムズ』八月九日付)。ペルツェフによれば、「ウクライナの戦争が公然たる後継争いを引き起こした」とい・・・