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ドイツが行き詰まる 「脱ロシア資源」

支持率「どん底」で墜落寸前

2022年9月号

 ウクライナ侵攻で戦果が乏しく苦戦するロシアが、西側の団結を破ろうと、ドイツに狙いを定めて猛烈な揺さぶりをかけている。既存のガスパイプライン「ノルドストリーム1」を通した天然ガス供給を、様々な口実で止めたり、石油輸送を遅らせたりと、連日新たな「脅し」を繰り出してくる。
 オラフ・ショルツ独首相は目下、日々の展開にきりきり舞いさせられている。関係閣僚を世界中に送って、ロシアに代わるエネルギー供給元を探している。自らも資源国を訪問して、首脳外交により窮地を脱しようと躍起だ。
 ショルツ首相が束ねる社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の三党連立政権にとって、今年の夏は「大災害の夏」(与党関係者)になった。
 まず、天候が大変なことになった。平年なら最高気温でも二十五度以下というところが多いのに、今年は各地で何度も三十度超え。多くの家庭は冷房がないので、特に高齢者には厳しい夏になった。
 こんな時に「省エネ、節電」を言い出されたら、誰もいい顔はしない。しかも天然ガスや石油の備蓄は十分あるのに、政府は「冬に備えるためだ」と言うのだ。猛暑を逃れ・・・