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社会・文化

ロックンロールは いつ滅びるか

ストーンズ「欧州ツアー」の反骨 ロックンロールは

2022年9月号

「四十五にもなって『サティスファクション』を歌ってるなんて、死んだ方がましだね」
 ミック・ジャガーは三十二歳だった一九七五年、取材でそう語ったが、七十九歳まで歌っているとは想像していなかっただろう。
 この夏、ローリング・ストーンズのバンド結成六十周年を記念した「シックスティ」ツアーは、ヨーロッパ中で連日、ロックファンの関心を集めた。六月一日のマドリードに始まり、八月三日のベルリンまで。スタジアムやアリーナで十四回のコンサートをこなした。キース・リチャーズは七十八歳、ロニー・ウッドは七十五歳。オリジナル・メンバーはミックとキースだけになったが、現役最長不倒のロックバンドはいまだに転がり続けている。
 二十近いヒット曲をちりばめ、ミックはステージを走り回り、腰を振って、客を挑発する。キースとロニーのツインギターはルーズなコンビネーションの中で宙に浮くような高揚感をかきたてる。人種も年齢も性別も超えて、聴衆を一体感で包み込み、会場を揺り動かす熱量とエネルギーは、サッカーや大リーグなど一流アスリートの巨大イベントに匹敵する。

不良たちの長命ぶり・・・