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政治

安倍派はどう分裂するのか

「国葬終了」が瓦解への号砲

2022年9月号

 トップ不在の大組織で求心力を維持することは難しい。自由民主党の最大派閥、安倍派(清和政策研究会)を巡り、かねて囁かれていた「分裂」が、派閥領袖だった元総理大臣・安倍晋三の死去により、いよいよ現実味を帯びてきた。トリガーになると見られるのが、九月二十七日に予定される安倍の国葬だというのだから、かくも権力闘争とは冷酷である。
 安倍の銃撃事件からほぼ一カ月がたった八月四日の安倍派例会。会長代理の塩谷立は「今までは皆が安倍元総理に頼ってきたかもしれないが、その存在がなくなった時、一人一人が力を発揮して政権を支え、今の国難を乗り越えていくことが我々の責任だ。政策集団として、しっかりまとまっていく」と結束を訴えた。
 その呼びかけから三日後、塩谷や、塩谷とともに安倍派会長代理を務める下村博文を唖然とさせたのが、安倍が生前、同派の有力な自民党総裁候補として名を挙げていた萩生田光一と総理大臣・岸田文雄との「さし会談」だった。
 総理大臣公邸での会談では八月十日の内閣改造・自民党役員人事に関し、萩生田自身の処遇だけでなく、安倍派の入閣候補についても意見が交わされた。{b・・・