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韓国国情院 「対北工作」を再始動

大きな成果は望み薄だが

2022年10月号

 韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は今年六月、スローガンを「国家と国民のための限りない忠誠と献身」から「陰地で働き、陽地を指向する」に変更した。金奎顕院長は「過去ではなく、初心に戻るという意味だ」と説明した。「初心」とは何か。このスローガンは国情院の前身、韓国中央情報部(KCIA)が創設された一九六一年から金大中政権が誕生した九八年まで使われていた。国情院の元幹部は「北朝鮮を倒すため、情報収集と破壊工作に邁進するという意味だ」と語る。
 国情院は金大中政権誕生後、文字どおり、茨の道を歩んできた。金大中政権は二〇〇〇年六月に初の南北首脳会談を実現する一方、国情院に対し、北朝鮮の破壊工作を禁じ、要員を大幅に縮小した。文在寅政権は、国情院から北朝鮮のスパイ活動など共産主義者らの活動を捜査する権限を取り上げた。
 満身創痍になった国情院だが、今年五月に保守の尹錫悦政権が誕生したことで息を吹き返した。その象徴が「スローガンの変更」だった。尹政権の幹部は語る。「国際社会や国民を不安にさせないため、我々は北朝鮮との対話姿勢は維持する。だが、金正恩体制を崩壊に導かない限り、北朝・・・

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