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経済

電力会社「託送料金値上げ」の悪辣

顧客の「過払い」で儲ける強欲

2022年10月号

 高すぎる電気料金が家計を蝕んでいる。ウクライナ情勢や円安による発電燃料の高騰が主因なのだが、今後はさらに別の理由で電気料金が上がっていきそうだ。電力会社が燃料高に乗じて引き上げようとしているのが、電気料金の三割から四割を占めるといわれる託送料金である。託送料金は電線使用料として新旧問わずすべての電力会社が顧客から徴収するものであり、要するに税金のようなものだ。あろうことか、電力会社は、社員の福利厚生費から出向先の活動費と人件費、はては事業の失敗分まで、託送料金に詰め込もうとしているのである。
 託送料金の見直しが検討されているのは、二〇二三年四月からレベニューキャップ制度が導入されるためだ。レベニューキャップを直訳すると「収入上限」。つまり新制度では国が託送収入の上限を決め、電力各社はその範囲内で託送料金を設定できるようになる。
 レベニューキャップ制度に備えて、電力各社は七月下旬、向こう五年間の収入見通しを経済産業省に提出した。最終的に経産相が承認する必要があり、今は収入見通しが適切かどうかの査定が行われている。電力各社が適正な費用を積んできたのであれば、査定の・・・

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