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経済

「トヨタよりテスラ」という潮流

部材メーカー生き残りの「大転換」

2022年10月号

 自動車をはじめ日本の完成品メーカーを支え、競争力の源泉にもなってきた部品・素材メーカーが静かに日本企業離れを始めた。開発、生産などの経営資源を将来性のある米国や中国の新興メーカーに移転している。はっきり表れているのが電気自動車(EV)。トヨタ自動車、ホンダなどが勇ましいかけ声のみで、商品化に出遅れ、シェアで落ちこぼれる中、日本の部材メーカーはテスラ、リヴィアンの米二強、中国のBYD、NIO、小鵬など有力メーカーとの関係強化を進め、生産拠点整備にも動いている。原価低減やジャスト・イン・タイム供給で無理難題を押しつけるだけのトヨタはじめ日本メーカーは見放されつつある。
 カリフォルニア、テキサスの米二カ所、中国・上海に加え、ドイツのベルリン郊外にもEV組み立て工場を建設中のテスラ。高品質とコストを評価され、採用された日本企業がドイツや東欧にテスラ向け生産拠点を建設中だ。合皮のカーシート材では世界トップと評価されるセーレンはテスラのベルリン工場向けに、ハンガリー南部のペーチに二十三万平方メートルの敷地面積を持つ工場を新設する。同社はテスラの上海工場にもシート材を供給しており、「勝・・・

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