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社会・文化

指揮者「沖澤のどか」が躍進中

本場ドイツで高評価の理由

2022年10月号

 ロシアのウクライナ侵攻開始から一カ月と少しが経った三月二十七日、ベルリンのドイツ連邦大統領官邸ベルビュー宮で、「ベルリンフィルによるウクライナの自由と平和のためのコンサート」が開催された。二〇二一年からベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がアンバサダーを務める国連難民高等弁務官事務所への緊急支援を目的に、ロシア人のピアニスト、キーシンやバリトン歌手ロディオン・ポゴソフらが登場するチャリティ・コンサートである。
 ベルリン=ブランデンブルク放送がテレビ生中継しWeb配信もされたこの演奏会で、フランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領の演説に続きベルリンフィルの前に登場したのは、アジア系の小柄な若い女性。急病の芸術監督キリル・ペトレンコの代理に抜擢された、沖澤のどかである。二〇年から監督助手を務める、日本人指揮者だ。

初の指揮が藝大入試

 青森県三沢市に生まれ現在三十五歳の沖澤は、音楽の神童ではなかった。四歳からピアノを始め、叔父や姉が弾くチェロに興味を持ち青森ジュニアオーケストラに加わりチェロを、・・・

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