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チャールズ新国王という「難題」

英連邦「四分五裂」の瀬戸際

2022年10月号

 英国の新国王チャールズ三世に早くも、「早期退位」を望む声が出ている。皇太子時代の様子から「政治介入がお好きなのか」という懸念や、十五もある英連邦王国の君主を務めるのは肉体的に不可能という指摘まで、理由は様々だ。
 背景にあるのは、十九世紀の植民地主義の名残を二十一世紀まで持ち越してきた矛盾である。エリザベス女王のカリスマで七十年隠してきた「英国の真実」が、チャールズ国王時代にどっと噴き出す情勢である。
 英国は日本に比べると、極めて不敬な国だ。王室を題材にフィクションを作り、独裁者扱いしたり、暴君扱いしたりと、ドラマの中で散々な目に遭わせる。
 英国公共放送BBCが二〇一七年に放送した「国王チャールズ三世」も、そんなテレビドラマだ。
 女王の死去で即位したチャールズ三世は、週に一回行われる首相との会見で、上下両院を通過したばかりの報道機関統制法に裁可を求められる。チャールズ三世は「これでは報道の自由が奪われるではないか」と裁可を拒否し、議会の解散を求める。
 国王の姿勢に抗議する民衆のデモが拡大する中、政治指導者たちはウィリアム皇太子・・・

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