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連載

新大学評判記 第34話

東京外国語大学 凋落は「中嶋嶺雄の呪い」か

2022年10月号

 東京工業大と東京医科歯科大が八月、二〇二四年春の統合に向けて協議すると発表した時、最もショックを受けたのは一橋大と東京外国語大だろう。
 二大学の統合は、「医工連携」によって研究力の強化を図り、政府の「十兆円ファンド」の支援を受ける「国際卓越研究大学」の指定を目指すものだ。ひと頃、両大学に一橋大と東京外語大を加え、四大学の統合による「第二東大」構想が語られたが、文系二大学は完全に排除された。
 複数の東京外語大関係者は「外語大は教員や学生の質が低下している。大阪外語大が大阪大に吸収されたように、いずれ一橋大に吸収されるだろう。百三十年前も、外語大は一橋の一部だった」と述べ、東京外大の凋落を「故中嶋嶺雄(元学長)の呪い」と形容した。
 大リーグの花形選手、バンビーノことベーブ・ルースをヤンキースに追放したボストン・レッドソックスが、一世紀近く全米優勝から遠ざかった「バンビーノの呪い」を思わせる。わが国の外国語教育をリードし、国際人材の育成で実績を上げた東京外大に何が起きているのか。

二学部制導入で「大失敗」・・・

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