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社会・文化

医療機関「補助金詐取」が増悪

コロナ「幽霊病床」最新事情

2022年10月号

 コロナ対応の矢面に立つ厚生労働省関連の医療機関で不祥事が相次いでいる。三月、独立行政法人である国立病院機構(国病)は業者からの接待などを理由に懲戒解雇三人を含む七十四人を処分した。五月には同機構の下志津病院(千葉県四街道市)の元企画課長が、六月には国立国際医療研究センターでも総務課係長が逮捕された。どちらも収賄容疑だ。警視庁関係者は「立件したのは氷山の一角」と言う。こうしたタガの緩みの根幹にコロナ補助金をめぐる、「幽霊病床」の問題が浮かび上がる。
「必要な備品は何でも申請してください」。今夏、厚労省所管の独立行政法人・地域医療機能推進機構(JCHO)傘下の病院に勤務する医師は、病院長からこのように言われた。この医師は、コロナ診療とは無関係だが、以前から申請していた約五百万円の手術器機を要望した。程なく、納入されることになる。
 すんなり要望通りになったのは訳がある。二〇二一年度の財務諸表によれば、同年度の補助金計上額は五百六十九億円で、前年度の三百二十四億円から二百四十五億円も増えた。
 この結果、二一年度末の現預金は九百七十一億円、有価証券は九百十億円・・・

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