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経済

電力会社に 「血税補助金」の愚行

電気料金軽減策は岸田政権の失政

2022年11月号

 爪に火をともすような生活をしている私たち消費者にとっては一応朗報である。電気料金が青天井で高騰している事態を受け、政府は家庭の負担を和らげる支援策を講じることを決定した。二〇二三年一月以降、電力小売会社を通じて燃料高による調整額の一部を補助し、電力会社による値上げ分を吸収できるようにする。値上げによる家庭の負担が緩和されれば、電力会社への批判も多少は落ち着くことであろう。税金を使ってそんなことをするのだから、さぞかし電力会社はほくそ笑んでいることかと思いきや、実際は政府への警戒感が渦巻いているというのだ。
「東電の二の舞になる気か」。電気料金負担軽減策を政府が検討しているとの一報を耳にした際、電力業界のあるOBはこう漏らしたという。家庭の電気代負担を下げるため、電力会社に補助金を投入すると報じられていたためだ。
 電気料金の負担軽減策は、岸田文雄首相が所信表明演説で言及し、総合経済対策の目玉の一つとして盛り込まれた。明細書に明記されている「燃料費調整額」を減額することで家庭の負担を軽減する。投入されるのは無論税金だ。

業界の疑心暗鬼・・・