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サウジ皇太子「恐怖統治」の戦慄

続く王族粛清と「監視社会」の強化

2022年12月号

 二〇二二年十一月の訪日を直前でドタキャンしたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(MBS)皇太子。その傍若無人ぶりが止まらない。国内では密かに王族の粛清が進められているという。
 米ボストンのノースイースタン大学に留学していたサウジの王族アブドッラー・ビン・ファイサル王子がサウジへ帰国後、投獄されたと十一月にAP通信が報じた。
 コロナ禍となった二〇年、リモートで勉強するために政府提供のチケットで帰国後、秘密裏に拘束されたという。アブドッラー王子の一族は王族の中でも反サルマン国王派として知られている。
 ムハンマド皇太子は自身の権力固めのために容赦なく反対派の取り締まりを強行している。近年は、高齢の父サルマン国王に代わって実質的指導者として政務の大半を取り仕切り、自らこそ「次の国王」だとして、傍若無人の振る舞いで王族から市民にまで弾圧の度を強めている。
 記憶に新しいカショギ氏殺害事件後も、サウジでは王族の粛清が躊躇なく進められている。国王の座が近づくにつれ、ムハンマド皇太子の疑心暗鬼はますます強まっているようだ。

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