三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

三井物産「株価高騰」の陥穽

ロシア依存で大怪我はありうる

2022年12月号

「おそらく勝負は来年二月。第3四半期決算の行方次第だろう」
 三菱商事、三井物産、伊藤忠商事の上位三商社の業績をめぐり、証券市場には虚々実々の観測が飛び交う。とりわけ注目を集めているのは三井物産だ。
 十一月二日、先陣を切って発表した今年度上期決算(連結)は過去最高益を更新、そのうえで通期の純利益予想を九千八百億円と期初から一千八百億円上方修正した。石油・LNG(液化天然ガス)・石炭の資源価格の騰勢に円安効果が重なり、それだけで実に一千七百十億円上振れ、修正額の大半を占める。が、通期純利益は一兆円にわずかに届いていない。
 それが、「物産はまだサプライズを隠している」という一部の投資家の深読みを誘発したのだ。下期は資源事業がさらに拡大し、同じく通期純利益を一兆三百億円へ上方修正した三菱商事をも抜き、「二十三年ぶりのトップ商社返り咲きを狙っている」と観測された。しかし、三井物産関係者は苦笑して否定した。
「堀さん(健一社長)はそんなこと考えていない。狙っているのはむしろ株価。伊藤忠への雪辱だ」

伊藤忠を株価で抜きたい・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます