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連載

広告を裏読みする 第48話

炎上しない「ジェンダーフリー広告」

2022年12月号

 意見広告―。メディアや広告業界での明確な定義があるわけではないが、保守、リベラルを問わず、政治的なメッセージを声高に主張するケースが多い。たとえば一方が「憲法改正」を求める意見広告を出し、片や「九条死守」を訴える。憲法改正のための国民投票を実施する際に、テレビやラジオでの意見広告について規制が議論されているのは、なんとも皮肉である。
 新型コロナ禍ならではといえるのは、ワクチン接種に反対する組織による広告だろう。今年二月に日経など各紙に掲載された「反ワクチン広告」は、新聞社の広告審査のあり方について議論を呼んだ。
 十一月十五日付朝日新聞の朝刊に、あるコミック単行本の全面広告が載った。『作りたい女と食べたい女』という漫画の単行本第三巻がこの日に発売されることをアナウンスするものだった。広告主は大手出版社のKADOKAWA。この作品は、料理を多く作りすぎてしまった一人暮らしの女性が、隣人の女性に声をかけたことから始まる二人の交流を描いた。料理をきっかけとしたストーリーだが、相手に惹かれていく心情を描写して話題を呼んだ。また、女性が生活の中で直面する「女だから」という・・・

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