理工系専門大学で日本の最高峰と言われる東京工業大学が総合型及び学校推薦型の入試選抜で「女子枠」を設けることを決めた。東工大の募集人数一千二十八人の一四％にあたる百四十三人を女子枠とし、学生の女性比率を現在の一三％から二〇％以上に引き上げる。教育機関として「ダイバーシティ（多様性）とインクルージョン（包摂）を目指す」と東工大は説明する。
　だが、より巨視的にみれば、男性中心主義によって世界最先端から劣後し始めた日本の科学技術を女性の力で再活性化させる狙いがあり、東工大自身としても優秀な女子学生の囲い込みという狙いも隠されている。東工大が十一月十日に発表した女子枠設置のニュースは大学業界だけでなく全国の高校にも衝撃を与えた。これほど明快な入試での女子優遇制度は国立大学はもちろん早稲田大学、慶應義塾大学など難関私大でもなかったからだ。募集人数の一四％という枠の大きさも驚きだった。
　女子枠の仕組みはやや複雑だ。総合型選抜で理学院、工学院、物質理工学院、情報理工学院、環境・社会理工学院の五学院が延べ百二十八人の女子枠を設け、生命理工学院だけが学校推薦型選抜で女子枠十五人を・・・