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「親中国家」静かなる増殖

自由主義陣営はどう巻き返すか

2022年12月号特別リポート

 米国のジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席が、世界中で互いのモデルを競っている。かつての東西冷戦と同じように、自由民主主義を選ぶのか、専制独裁を選ぶのかの体制選択である。
 外交面ではロシアによるウクライナ侵攻を容認するのか否かという選択になった。十一月にインドネシアのバリ島で開かれた「G20(主要二十カ国・地域)」会議では、ほぼ半数の国が、ロシア政府への非難を避ける中国に同調した。
 中国の王毅外相は「中国が国際的な立場を強め、中国の姿勢に支持が集まった」と自画自賛した。中国モデルは今なお発展途上国に魅力である上、米欧は自国内政への注文が多すぎる。G7(主要七カ国)側は中国に対抗しつつ、独裁体制の不安や脆弱さに細心の注意を払っていかなければならない。

ロシア問題で明確な「分断線」

 十一月の三つの国際会議は、米中対立の新段階のイベントとして、歴史に記憶されるだろう。
 プノンペンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、インドネシア・バリ島でのG20会議、バンコク・・・

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