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中国から「与那国島」をどう守るか

政府無策では「捨て石」の運命

2023年1月号

 人口一千七百人余りの与那国島が、にわかに注目を集めている。
 二〇二二年十一月十七日、航空自衛隊のC2輸送機で運ばれた陸自の16式機動戦闘車(MCV)が、与那国空港から自衛隊駐屯地まで、島内の県道約四キロを走行した。MCVが公道を走ったのは沖縄県で初めてのことだ。日米共同統合演習「キーン・ソード23」の一環だった。この演習では、在日米軍関係者が与那国駐屯地で日米共同指揮所演習を行った。米軍が訓練で与那国島に入ったのも、今回が初めてだ。同月三十日には国民保護法に基づく弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練も行われた。これも沖縄県で初めての訓練だった。
「初の訓練」が相次いだ背景は何だったのか。キーン・ソードは日米両政府が、避難訓練は与那国町が、それぞれ望んで実現したという。
 自衛隊関係者は「宮古島は地対艦ミサイル部隊や弾薬庫があり、演習をすれば住民を刺激する。石垣島は二三年春に駐屯地開設を控えていて、やはり事を荒立てたくない。その点、与那国島は一番、安保に理解があった」と語る。与那国島の人口の約一五%は自衛隊員とその家族だ。島民とはほぼ顔見知りの関係と言・・・

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