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経済

《地方金融の研究》 豊和銀行(大分県)

治癒せぬ公的資金「依存症」

2023年1月号

 日暮れて道遠し―といったところだろう。
 注入された公的資金百六十億円返済への道筋を示す向こう三カ年の新たな「経営強化計画」を二〇二二年秋に公表した大分県地盤の豊和銀行。二四年度のコア業務純益を二一年度比一四・一%増の一五・二一億円に伸ばすなど稼ぐ力を高めて、返済原資となる利益剰余金残高を二四年度末でひとまず九十六億円(二一年度末八十・七八億円)に上積み。返済期限となる二九年三月までの残り四年間で最終的に二百五十七億円にまで積み上げて完済にこぎつけるといったシナリオだ。
 九州地区では二二年、公的資金注入三行のうち二行がその「くびき」(地銀関係者)を断ち切った。鹿児島県が地盤の南日本銀行と宮崎県本拠の宮崎太陽銀行で、南日本銀は九月末に〇九年注入された百五十億円を一年半、宮崎太陽銀も十一月末に一〇年受け入れた百三十億円を二年四カ月いずれも前倒しで返済を成し遂げた。
 南日本銀は二一年、宮崎太陽銀は二二年に取引先企業や地元企業に奉加帳を回す形でそれぞれ八十五億円、六十億円の優先株増資を断行。公的資金を半ばリファイナンスしたもので、地元財界関係者からは「地域を・・・

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