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社会・文化

デタラメ「食料安保」が国を滅ぼす

農水省と族議員「新利権」の実情

2023年1月号

 ウクライナ情勢を受けて安全保障に対する意識が高まり、食料安全保障についても政府や自民党が活発に議論している。「グルメ呆け」した飽食・日本で食べ物の重要性について多くの人が関心を持つのはとても良いことだ。しかし、食料安保については安全保障との混同など誤解が多く、政府・自民党が主導する「国内生産の強化」だけでは、有事・平時を問わず国民を飢餓から救えない。
 自民党は二〇二二年二月二十四日に「食料安保に関する検討委員会(委員長・森山裕元農林水産相)」を設置、十二月十二日に「食料安保の強化に向けた政策大綱」の策定と、食料・農業・農村基本法の改正を岸田文雄首相に提言した。これを受けて政府は年末に大綱をまとめ、食料安保の財源を「政府が責任を持って確保」という表現で、毎年予算化することを明確にした。自民党主導で「別枠農林水産予算」の新設に成功したのだ。
 基本法の改正についても、農林水産省が十月十八日に食料・農業・農村政策審議会に基本法検証部会を設置、急ピッチで議論を重ね、二〇二三年度内にも改正案を提出する方針だ。しかし、肝心の食料安保について政府としての明確な定義は存在しない・・・

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