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「クリミア奪還」ウクライナの強硬

米欧が恐れる「最悪シナリオ」

2023年2月号

 ボロジミル・ゼレンスキー大統領が率いるウクライナが、ロシアとの戦争遂行の目的として「クリミア半島奪還」を明確にし始めた。米国のジョー・バイデン大統領が最近、クリミア半島攻撃も可能な兵器供与を増やしていることから、ウクライナでは「バイデン政権もクリミア制圧に青信号を出した」との強気の見方が広がっている。
 クリミア半島には複雑な歴史があり、現在でもロシア語話者が住民の八割を占めるなど、「ウクライナ色」は希薄だ。加えてセバストポリ軍港は、ロシア海軍黒海艦隊の基地であり、ウラジーミル・プーチン大統領は絶対に譲らない。
 クリミア防衛のため、ロシアが小型核爆弾を使う可能性も、軍事専門家の間で指摘されている。ウクライナが西側支援をあてにして野心を膨らませると、西側同盟にも深刻な影響を与える。

戦車供与を逡巡する真意

 年明けの北大西洋条約機構(NATO)本部は、「ウクライナへの戦車供与」問題で大揺れになった。
 ゼレンスキー大統領が昨年暮れにワシントンを電撃訪問して以降、米欧の世論、メデ・・・

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