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台湾で「政権交代」が起きたなら

「親中」国民党が総統奪回の雲行き

2023年2月号

 米国の対中政策の最前線である台湾は今年、次期総統選挙に向けた動きが顕在化する「選挙イヤー」だ。欧米や日本と協調路線を歩む民進党には目下、逆風が吹いている。対中融和を模索する国民党が政権を奪取する可能性も浮上しており、北東アジアの情勢を一変させかねない雲行きだ。
 総統選が行われるのは約一年後の二〇二四年一月。前回、二〇年の選挙で圧勝した蔡英文総統は昨秋の地方選惨敗を受けて民進党のトップである主席の座を降りた。今年一月十八日、民進党の主席に就いた頼清徳氏は記者会見で「台湾は実質的に独立した主権国家だ。改めて独立を宣言する必要はない」と語り、波紋を広げている。
 現状維持派の蔡氏と異なり、頼氏はこれまで台湾独立を強く主張してきたことで有名だ。過去に公の場で何度となく独立に言及し、行政院長(首相)を務めていた一七年には、立法院(国会)の答弁で「台湾独立の堅実な仕事人」を自称したこともあった。
 しかし、この日の会見で頼氏は自らの従来の主張を封印し、中国を刺激しないように慎重な言葉選びに終始した。背景には、総統選への強い危機感がある。

世論調査では民進党に逆風・・・

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