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「ムスリム同胞団」で内紛が過熱

過激思想「テロ拡散」の火種

2023年3月号

 かつて中東を席巻した「ムスリム同胞団」が分裂の危機に瀕している。ムスリム同胞団最高指導者代理イブラヒーム・ムニール氏が、昨年十一月にイギリスで亡くなり、「跡目」をめぐって組織内で熾烈な争いが続いている。
 同胞団の分裂・拡散は、中東や欧州に新たなテロの火種をバラ撒くことになりかねない。過激派組織が統制を失いつつある中、各国は次なる血の惨事に、警戒を強めている。
 ムニール氏の死後、ムスリム同胞団のロンドン戦線は、ムヒーディン・アル=ザーイト氏を、正式な最高指導者代理が決定するまでの臨時代理に任命した。
 一方、イスタンブール戦線は、マフムード・フセイン氏を最高指導者代理に選出したと発表。両陣営の主張は平行線を辿った。
 イスタンブール戦線側は、アル=ザーイト氏よりもマフムード・フセイン氏こそがキャリアなどからも最高指導者代理に最もふさわしいとSNS等で拡散し、ロンドン戦線側を牽制していた。
 組織関係者は、匿名を条件に次のように語った。「ロンドン戦線は、その後、内々にクトゥブ派のサラーハ・アブドルハック氏をムスリム同胞団の最高指導者代・・・

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