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台湾「ウクライナ化」の現実味

中国の脅威増大と「日米への不信」

2023年3月号

 米軍が二月五日、米領空を侵犯した中国の偵察気球を撃墜したことは、台湾でも波紋を広げている。
 台湾メディアの取材によると、台湾の上空で、二〇二一年九月、同年十二月、翌二二年三月と、これまでに少なくとも三回、同種の偵察気球が確認された。世論は「撃墜すべし」だが、台湾当局は慎重な姿勢をとる。中国の台湾攻撃の口実にされる可能性があるからだ。ロシアのウクライナ侵攻から一年。台湾の中国への警戒感は高まるばかりだ。
 中国の福建省近くにある台湾の離島、東引島の軍事施設で二月十六日午前十一時頃、直径約一メートルの気球の残骸が発見された。気象データを観測する電子機材が添えられており、「太原無線電」「気象儀器(計器)」の文字が確認された。
 太原市は台湾から約二千キロも離れている中国北方にある都市。台湾の国防部(国防省)は、気球は中国から飛来したものと判断し、専門家チームを東引島に派遣し気球の機能、墜落原因、中国側の狙いなどについて調べている。
 気球残骸の大きさは米軍が撃墜した気球よりはるかに小さいが、台湾にとって脅威であることに変わりはない。台湾の軍事専門家・・・

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