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中国経済が向かう「バブル再膨張」

習近平「政策混乱」の異常事態

2023年3月号

 習近平政権の政策が方向を見失い、迷走を深めている。ゼロコロナ政策の解除とともに不動産業界の救済、財政出動の拡大を進める一方、アリババ、テンセントなど大手民間企業の抑圧を一段と強めているからだ。投機やバブル、民間企業を毛嫌いし、財政規律、統制を重視する「シーノミクス(習の経済政策)」は健在だが、正反対の政策が並立する混乱状態。習総書記に対し、コロナ政策を撤回させた国民の圧力をバックに実務家が政策を押し戻す姿も垣間見える。既にピークアウトが明らかな中国経済は政策迷走のなかで停滞が深まる。中国への甘い期待は捨てるべき時だ。
「誰が経済政策を決めているのか?」。中国経済を長年、分析してきたエコノミストの一人は昨年十一月以降の習政権の経済政策の大きな振幅に戸惑いを隠さない。バブル潰し、不動産業界叩きを政権の大きな目標とし、住宅価格の高騰に苦しむ庶民の支持を得ようとしてきた習総書記が不動産業界に対し、異様に甘い救いの手を差し伸べているからだ。
 昨年十一月、中国人民銀行と中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は、不動産業界救済の包括指令を合同で発表した。両者が特定業界向けの対・・・

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