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経済

米国「新型金融危機」が破裂間近

次の主役は「影の銀行」

2023年3月号

「非農業部門雇用者数五十一万七千人増加」「失業率三・四%」─。二月三日に発表された一月の米雇用統計は経済予測の難しさを痛感する衝撃的なものだった。五十三年ぶりの低水準となった失業率に驚いた市場では、景気後退を見込んで長期債やゴールドが売られ、株式市場では金利敏感セクターが売られた。消費者物価鎮静化の見通しが怪しくなり、後ずれする景気後退。それはより厳しいハードランディングにつながる。
 年が明けてガソリン、木材、中古車などお馴染みの面々の価格が再上昇する。賃金上昇と物価上昇のらせん的な進行「物価・賃金スパイラル」が起こる可能性も否定できない。「終了するはずの宴」が延長したようだ。延長料金は当然高くつく。
 ニューヨーク連邦準備銀行のリセッション確率モデルは五七%にまで上昇している。低いように感じられるかもしれないが、これは二〇〇八年の「リーマン前」よりも高い。
 雇用統計が示したことは「より高い金利」を「より長く」ということだ。それはクレジット・イベント(債務不履行)が増えることを意味し、危機が大きくなるということだ。二〇年代型の新たな危機になるだろう。{・・・

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