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経済

日銀人事「大物OB」たちの愚行

迷走と政争で生じた亀裂

2023年3月号

 日本銀行の新総裁人事の決着がついた。植田和男・元東京大学教授(共立女子大学教授)に落ち着くまでは過去になかったドタバタ劇が展開した。大物OBたちが政治的に蠢動し、日銀内部では派閥のレッテル貼りが横行、亀裂が入った。日銀は大丈夫なのか。
「総裁候補決定」のニュースが流れるや、東京・下落合にある植田氏の自宅前に集まった主要メディアの記者たちに、植田氏は「金融緩和政策の継続」を明言し、さらに「政策を丁寧に説明していく」という基本姿勢を明らかにした。
 エコノミストには副総裁も含め「順当な布陣」という評価が多い。
 しかし、直前まで事態は混乱していた。筆頭格は、日本経済新聞。二月六日付の朝刊で天下の大誤報といえる記事を掲載した。「政府、雨宮氏(現、副総裁)に総裁就任打診」という記事。雨宮正佳氏は一貫して総裁就任を固辞する姿勢を示していたにもかかわらず、である。
 全国紙の記者は「『打診』という見出しはあまりに姑息。雨宮氏にも植田氏にも極めて失礼な大外しだ」と切り捨てる。

「反雨宮」で一致した三人{・・・

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