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中国が仕掛ける対米「麻薬戦争」

習近平一族とメキシコの暗躍

2023年3月号

 米国で合成オピオイド「フェンタニル」中毒が急拡大している。
 死者数ではコカインやヘロインを遥かに凌いで、年間七万人に迫っている。フェンタニル製造の元になる前駆物質はほとんどが中国国内で製造されており、メキシコの麻薬カルテルによる加工を経て、米国内に密輸されるルートが確立している。
 米政府は「中国が主要な原料供給先」として中国政府に取り締まりを求めているが、中国政府は「責任転嫁をするな」と猛反発している。最近では、習近平国家主席の親族が密売組織に関与しているという疑惑が持ち上がり、米国とオーストラリアの捜査当局が、中国の密売組織について本格的捜査に乗り出した。

習氏の従弟と「黒社会」を巡る疑惑

 まず問題の人物を紹介しよう。
 斉明氏が豪当局の注意を引いたのは、今から十年以上前のことだ。「メルボルンのカジノで派手に遊んでいる人物がいる」とのゴシップを元に、ある記者が調べたところ、斉氏が浮かび上がった。
「習主席の母親、斉心氏の弟・斉鋭新氏の息子で、習主席とは五歳年下・・・

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