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経済

電力会社「解体論」が急展開

発送電「資本分離」は実現するか

2023年3月号

 電力会社の経営陣を、その株主はどうみているだろうか。経営陣の狼狽ぶりは甚だしい。
「戦時下の日本発送電の復活だ」「いずれ国鉄の二の舞いになる」「役人の“焼け太り”を招くだけではないか」
 反復する矯激な言辞の意味は、にわかに持ち上がった送配電部門の「資本分離」、すなわち電力会社解体論への焦燥である。発端は、今や“不祥事の総合商社”と化した関西電力の、競合する新電力の顧客情報の不正閲覧だ。
 関電が当初、一月十三日に経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会へ提出した報告書によれば、関電の社員ら七百三十人が、子会社の関西電力送配電のITシステムから新電力の顧客名、電話番号、電力使用量の情報を閲覧し、オール電化などのリプレース営業に利用していた。不正閲覧の件数は約一万五千件。が、調査が進むにつれ、十五万件超に拡大、関与の社員らも一千六百人に達し、組織的な不正であることが発覚したのだ。
 事態を重くみた監視委が他の電力九社にも調査を求めると、北海道電力を除く八社から程度の差こそあれ、不正閲覧が報告された。八・・・

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