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政治

岸田「六月解散」の急ピッチ

見え透いた「奇襲作戦」の成否

2023年4月号

 ネットに押され、昔日の輝きを失った新聞だが、稀に隠れたお宝が潜んでいる。むろん見出しだけ大きく中身のない一面トップ記事にではなく、中面の片隅にひっそりと佇んでいる「ベタ記事」にだ。
 各紙が一面や社会面で「侍ジャパン 世界一」の大見出しでWBC決勝戦の結果を大々的に報じた三月二十三日、申し合わせたかのように目立たぬ場所に「自民、衆院選挙区支部長を追加発表」というベタ記事が載った。
 宮城、東京の五選挙区で支部長が決まったという何の変哲もない記事だが、与野党に静かな衝撃が走った。
 次期総選挙は、定数「十増十減」を柱とした新たな選挙区割りのもとで行われる。区割りが変更され、候補者調整が必要な選挙区は一都十四県の百三十四選挙区に及び、自民党の選挙区支部長選びは難航を極めた。支部長に選ばれなかったら選挙区での自民党公認の道が断たれるからだ。減員される県ばかりでなく、定数が増える東京や埼玉などでも連立を組む公明党も巻き込んだ熾烈な「国盗り合戦」が繰り広げられている。中でも難航していたのが、二十三日のベタ記事に載った東京十四、十八、三十の三選挙区だった。
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