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プーチンの惨めな「停戦構想」

無理筋「勝利宣言」で終結の可能性

2023年4月号

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナ侵攻の目標を次々と引き下げている。昨年二月の侵攻当初は、短期間で体制転覆を実現し、ウクライナ全土を政治的、経済的にロシアに統合することを目指していた。だが米国主導の国際支援で、ウクライナが侵攻初期の窮地を脱し、ロシア軍を押し返すと、この目標を大幅修正しなければならなくなった。
 今では、ウクライナの国力を極力弱めて、二〇一四年の戦争で奪ったウクライナ東部やクリミア半島を守り、黒海での制海権を維持するのが当面の目標である。それでも、ウクライナ政府と国際社会にとっては、非常に厄介な事態が続くことになる。
 プーチン大統領の最近の発言は、劣勢にある戦争指導者に典型的なものだ。語るのは、「ウクライナの非ナチ化」など、戦場の事実とかけ離れた空虚なスローガンのみ。それでもたまに、戦争の真実や本音をポロリと認めることがある。
 三月十九日に、ドンバス地方の主戦場だったマリウポリを電撃訪問したのも、そんな瞬間だった。前々日の十七日に、国際刑事裁判所(ICC)から、戦争犯罪で逮捕状を出された。そんなものは歯牙にもかけない、と・・・

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