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経済

米国「銀行ショック」のこの先

「リーマン前」と似た状況に

2023年4月号

「米国の銀行システムと資本の流動性のポジションは堅牢であり、金融システムには回復力がある」イエレン財務長官と米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は三月十九日に出した共同声明でこう述べた。十五年前、大手証券ベア・スターンズが破綻して金融危機が迫った時も、当時のポールソン財務長官は同様のことを述べており、額面通りには受け取れない。資産規模全米十六位シリコンバレー銀行(SVB)と二十九位シグネチャー銀行の連続破綻で市場の混乱が続く。ハゲタカが舞いはじめている。米国はまた死ぬのか。
 三月十日のSVBの破綻、十二日のシグネチャー銀行の破綻。個々に見れば古典的な取り付け騒ぎによる破綻であり、金融システムへの影響は限定的だ。
 リーマンショックで起きたレバレッジ解消が津波のように伝播して信用が枯渇し、新興国の片田舎にまで影響が及んだシステムの危機とは異なる。
 しかし、今回は商業銀行の破綻としてワシントン・ミューチュアル(二〇〇八年破綻)に次ぐ史上二番目と三番目の規模が同時に起こった。破綻銀行の預金額合計は現時点で、すでに〇八年を上回っており、予断を許さない。{b・・・

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