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政治

岸田の楽観「再選戦略」

「我が世の春」に潜む死角

2023年4月号

「来年のことを言えば鬼が笑う」
 明日は何が起こるか分からないのに来年のことなど分かるはずがない。ましてや「一寸先は闇」の政界では禁句に近い。ところが自民党内では早くも来年九月の自民党総裁選をめぐる蠢きが始まった。口火を切ったのが自民党総務会長の遠藤利明。三月三日の記者会見だった。
「(総裁任期の)一期三年では憲法改正など全ての課題は解決できない。少し時間が必要だ。引き続き総理総裁として頑張ってもらいたい」
 首相岸田文雄の再選を早々に支持した。遠藤は“宏池会(岸田派)一門”の自民党谷垣グループ幹部。岸田が二度戦った自民党総裁選で選挙対策本部長を務めている。さらに元首相森喜朗の側近でもある。森とはラグビーを通じて知り合い、第三次安倍内閣では五輪担当相。二〇二〇東京五輪・パラリンピック組織委員会でも会長だった森を補佐する副会長を務めた。
 遠藤は岸田政権の発足に伴い自民党選対委員長に起用され、二一年衆院選を仕切った。その論功で二二年八月の内閣改造で総務会長に就任した。岸田を「キッシー」と呼び、近さをアピールする遠藤にとって総・・・

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