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ドイツ「原発全停止」で大混乱

石炭依存増大とEU内の対立

2023年4月号

 ドイツ政府は、四月十五日をもって、国内で稼働するすべての原子炉を停止する。ドイツの「脱原発」への動きは、二〇一一年三月に起きた東日本大震災で、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた直後に始まり、ついに「原発ゼロ」にこぎつける。
 その一方で、温暖化ガス排出量の多い石炭への依存度は、発電量の三分の一にまで跳ね上がった。隣国フランスでは、原発を「クリーンなエネルギー」と位置付け、原子炉大量増産に踏み切るだけに、欧州連合(EU)内での独仏対立は深まるばかりだ。
 EU加盟国の間では、原子力推進派と反対派がくっきりと分かれた。統一したエネルギー政策、環境政策は不可能な情勢である。
 重大決定をさらりと語ったのは、緑の党所属のシュテッフィ・レムケ環境相だった。三月中旬、独メディアグループ「フンケ」との会見で、「四月半ばの脱原発に、変更はありません」と明言。さらに「原子力の危険は、究極的には制御不可能です」と述べた。
「本当にやるのか」という声は、オラフ・ショルツ首相の三党連立内からも起こった。ビジネス界を支持母体にする自由民主党(FDP)は抵抗を続け・・・

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