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経済

トヨタの戦略なき「生産計画」

途方に暮れる下請けと販売会社

2023年4月号

 協力企業にとっては、ほろ苦い「再会」だったようだ。二月二十四日にトヨタ自動車がグローバル仕入れ先総会「トヨタサプライヤーズコンベンション」を開いた。コロナ禍で二〇二〇年から中止しており、四年ぶりに双方の経営陣が膝を交える機会となったが、サプライヤーの多くは困惑したという。「肝心の具体的な調達戦略についてはほとんど触れられず、将来不安を解消する材料は何一つなかった」と、参加したサプライヤー幹部は不満を漏らす。
 とりわけ参加者を驚かせたのは四月に会長となる豊田章男社長が二年も前の数字を持ち出したこと。章男社長は「私たちの暮らしを一変させたのが、二〇年のコロナ危機でした。トヨタはその年の五月の決算発表で、(二一年三月期見通しとして)世界販売八百万台、営業利益五千億円という『基準』を公表いたしました」と発言。「参加したサプライヤーは全員『えっ? 今期の世界生産計画については言及しないのか』と思ったはずだ」と、自動車部品メーカー担当の専門紙記者はみる。
 それというのもトヨタは当初、今期の世界生産計画を一千二百万台と想定していたが、半導体をはじめとする部品調達の問題などを・・・

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