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連載

新大学評判記 第40話

上智大学外国語学部「大量補欠」が出る人気の急低下

2023年4月号

 今は遠くなった昭和の時代、上智大学は大学序列ではトップ層とはみなされていなかったが、外国語学部だけは受験生に畏敬の念を持たれる別格の存在だった。まだ、帰国子女も留学も遠い存在だった時代にイエズス会の創立したカトリックの大学は、他校とは別次元で欧州文化の光を放っていたからだ。東京大学はじめトップ校の学生に欠けていた英会話力に加え、仏、独、スペインなどの欧州言語も、生真面目なだけの外語大などとは異なる文化の香りを漂わせていた。時は経ち、令和の上智大外国語学部に衰退の兆しがはっきり現れている。背景にあるのは日本のアジア志向、アジア言語への傾倒である。

優位性の喪失と陳腐化

 上智大外国語学部全体の一般入試の合格倍率(受験者総数を補欠も含む合格者総数で割った値で、志願倍率とは異なる)は二〇一九年には五・五倍だったが、二〇年には三・九倍、二一年には二・七倍、二二年には二・四倍にまで急低下した。かつて英語自慢の学生が目指す最高峰だった英語学科ですらTEAP(上智大と日本英語検定協会が独自開発したアカデミック英語能力判定・・・

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