三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

尹錫悦政権の「過大評価」は禁物

日米「追従路線」の限界近し

2023年5月号

 二〇一一年以来、十二年ぶりの国賓訪問。一三年以来、十年ぶりの上下両院合同会議での演説。四月二十四日から訪米した、韓国の尹錫悦大統領は得意の絶頂にある。何しろ、今年は米韓同盟七十周年という記念の年だ。昨年五月に大統領に就任した尹氏にとって、最高の政治舞台と言える。だが、この訪米は尹政権に、「内憂外患」の災厄をもたらすかもしれない。
 内憂の兆しは今年初めに見え始めた。韓国政府は尹氏の訪米を派手に演出したかった。そこに浮上したのが、K-POP人気ガールズグループBLACKPINKと米国のポップスター、レディー・ガガの合同公演だった。韓国政界筋によると、この話に最も乗り気だったのが尹氏の妻、金建希氏だった。金氏は、国賓訪問や晩餐会といった華やかな舞台が好きで、自身も主役になりうる合同公演にも強い関心を示していた。
 逆に外交の司令塔、国家安保室は慎重だったという。野党が政権攻撃の材料として、金建希氏の経歴詐称や株価操作などの疑惑を厳しく追及している。尹氏も大統領選の際、金建希氏に過度な役割を与えないと約束した経緯があったからだ。合同公演の費用は約三十億ウォン(約三億円)・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます