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アジア主要国で進む「中国離れ」

紅い膨張主義に高まる嫌悪

2023年5月号

 アジア諸国で中国を忌避する動きが強まっている。中国共産党の習近平総書記が、自国の権益をゴリ押しし、自国の政治モデルを自画自賛することに、各国政府や国民がすっかり嫌気を示している。
 経済発展と民主化の道を求めるアジア各国の市民たちにとっては、一党独裁はもはや前時代の遺物でしかなく、中国の急成長モデルは完全に魅力を失っている。
 マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は何年も投獄生活を経験した苦労人だ。首相に就任した後も、首相の額のシワはさらに深くなっているようだ。
 四月の訪中では、中国側から「マレーシアは中国の領海侵犯ばかりしている」「マレーシアの国営石油会社ペトロナスは、中国領海で操業している」と言い募られた。
 首相は帰国後、「中国側からは約三百九十億ドル(約五兆一千億円)もの大型投資を取り付けた」と成果を誇示したが、野党からは「そんなものでマレーシアを売り渡すのか」「首相は言い返したのか」などと厳しい追及を受けた。
 そもそもペトロナスが操業する海域は、どんな国際法・規範に照らしても、「中国領海」ではない。
 マレーシ・・・

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