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政治

霞が関「菅義偉」への反攻

歪んだ「政治主導」が遺した怨恨

2023年5月号

 国土交通省の有力OBによる天下り圧力が相次ぎ露見した。一つは、各地の空港ビルを管理する上場企業「空港施設」の社長人事。一九七〇年の設立以来、旧運輸省OBが歴代社長を務めていたが、初の赤字決算となったのを機に二〇二一年、筆頭株主である日本航空(JAL)とANAホールディングスの出身者が社長・会長に就任した。ところが昨年十二月、本田勝元事務次官(東京メトロ会長)がノコノコ同社を訪れ二人に面会。元東京航空局長から天下っていた後輩の山口勝弘副社長を社長にするよう要求し、「国交省OBの名代として来た。(社長になれば)国交省としてあらゆる形でサポートする」と持ちかけていた。ずいぶん粗忽な言動である。
 もう一つは、「土地情報センター」の常務理事人事。旧国土庁所管の公益法人が、二〇一一年に一般財団法人となって国の仕事を減らし、民間企業と地図データを販売するなど自立をめざしている。そこへ元人事課長で事務次官に次ぐ国交審議官を務めた三澤眞氏が二〇二一年一月、これまで通り国交省OBを受け入れろと要求。藤原良一元国土事務次官の意を受けて動いたという。常務理事は次期理事長の待機ポストだ。
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