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経済

米国「倒産ラッシュ」の始まり

不況の本格化で何が起きるか

2023年5月号

「小売業の黙示録(世界の終わり)」という言葉が米国で幅広く使われるようになったのは小売チェーンの倒産が相次いだ二〇一七年からだ。足元で倒産件数が急激に増加し始めている。「企業の黙示録」が今後、悪化の一途を辿りそうだ。
「現在、労働需要が落ち着いてきている兆候が見られるが、労働市場は依然としてかなり逼迫している。雇用の伸びは引き続き力強く、求人者数は応募者数をはるかに上回っている。(三月の)失業率は 三・五%となり、五十年ぶりの低水準となっているが、それは我々にインフレをもたらすものだ」
 ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は四月、市場関係者との会合でこう述べた。
「異常な高水準の求人数」は、インフレ圧力の根源となっている。

予備軍は多数

 四月発表の二月の雇用動態調査では、求人件数が九百九十三・一万件とピーク時からは低下しているが、コロナ前(二〇年二月=六九九・五万件)より約四二%多い。
 だが、今起こっていることは「人不足」ではない。「職」、さらにいえば「企業・・・

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