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経済

凄まじき「洋上風力バブル」

再エネ企業「高値買収合戦」の狂宴

2023年5月号

 バブルは弾けるどころか、膨れ上がる一方だ。証券市場には怨嗟と期待が相半ばする。
「一年半前のJREの高値掴みがベンチマークになってしまった。減損覚悟の不見転ディールはもはや止まらない」
 石油元売り最大手、ENEOSが純資産四百億円足らずの再生可能エネルギー企業、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を二千億円で買収すると発表したのは二〇二一年十月のことだった。実に“のれん”一千六百億円の高値掴みは当時、エネルギー関係者の失笑を誘ったが、買収の真価を問われる時が迫っている。
 JREが名乗りを上げている秋田県八峰町・能代市沖の洋上風力発電事業が六月、入札締め切りを迎える。万一落札を逃せば、ENEOSは巨額の“のれん”減損が必至、再び嘲りを受けることになるだろう。電気事業担当に抜擢された同社初の女性常務・香月有佐は、事業の黒字化厳命に「ノイローゼ気味」と囁かれる。
 洋上風力はJRE騒動の二カ月後、三海域の入札を独占した三菱商事の価格破壊によってバブルは弾けたはずではなかったか…・・・

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