三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

楽天の資金繰りが「危険水域」に

寄る辺は「みずほ」だけの苦境

2023年5月号

 四月二十一日、楽天銀行が東京証券取引所のプライム市場に上場した。初値は公開価格の一千四百円を上回る一千八百五十六円をつけ、最終的に一千九百三十円で引けている。まずまずの滑り出しに見えるが、親会社の楽天グループの顔色は冴えない。ここにきて楽天の資金繰りに黄信号が灯り始めているのだ。三菱UFJ銀行の方針転換に端を発して、資金調達の先行きに暗雲が垂れ込め始めた。

三菱UFJの「格下げ」が波及

 四月十九日、楽天のメーンバンクであるみずほ銀行の幹部に衝撃のニュースが飛び込んできた。「三菱UFJが楽天グループに対する行内格付けを引き下げたという話が業界内で出回った」(みずほ関係者)のだ。三菱UFJはこれまで楽天をいわゆる「正常先」に分類してきた。しかし、「十数段階ある独自の格付けを五つほど引き下げて『破綻懸念先』相当にまで落とした」(金融業界担当記者)という。すぐに融資を回収するという段階ではないが、新規融資は難しくなる。
 三菱UFJが危惧しているのは言うまでもなく楽天のモバイル事業だ。四期連続赤字の元凶・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます