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経済

JA共済「自爆営業」に改善なし

今なお「苛烈ノルマ」に震える職員

2023年5月号

 農業協同組合(JA)が共済(保険)の販売ノルマを達成するため、職員やその家族に不必要な契約をさせる「自爆」と呼ばれる行為が全国で横行している。農林水産省は今年一月に、JA共済の運用に関する監督指針を改正し、自爆営業を禁じた。また、JAがその実態を把握した場合、原則として一カ月以内に都道府県に届け出ることも義務づけた。しかしJAは反省するどころか、抜け道を使って職員に自爆営業を強いていることが、取材から明らかになった。しかも、元凶である苛烈なノルマが、新年度からさらに増加された地区もあるというから呆れる。経済的な負担と心身の疲労から離職者も続出しており、JAの運営が立ち行かなくなる危機に瀕している。

「アリバイづくり」の申告書

「ノルマも自爆営業も、相変わらず続いているんです。監督指針が改正されても、うちの農協はまったく反省していないですね」
 こう打ち明けるのは静岡県在住の鈴木聡子さん(仮名)だ。鈴木さんはJAふじ伊豆(沼津市)の正職員である。同JAは、昨年四月に、二十市町を管内とする八つの農協が・・・

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